4.ライアー用編曲譜をつくるしごと

 音楽療法士の私がどうして編曲にこだわるのか…実は、音楽療法士だからこそなのです! 音楽は数の美です。一つ一つの曲に合った和音の選び方があり、ライアーという楽器に合った音の選び方があります。私は決して、自分の感覚だけで編曲しているわけではありません。上記の二つの事を考慮すると、どの音を伴奏に加えるかという選択肢は既に、一つか二つに限られるのです。

編曲は、ライアー演奏の質の70%以上を決めると、私は思っています。「質」とは、聴く人の心に治癒的作用をもたらすかどうかです。数の美であるからこそ、音楽は心を整え、やすらぎを与えるのです。何よりも、演奏者が弾きやすくなくっちゃね!

編曲は、想像されるほど難しいことではありません。ただし、二つだけ、門をくぐることが必要です。それは、西洋音楽における「拍」と基礎的な「和音の役割」です。日本人である私たちは、どうしても一度、意識的にこの二つの門をくぐらなくてはなりません。でも、ここを通ると、2次元だった音楽の世界が3次元に豹変します。

 しかしながら、ライアーレッスンを長年いろいろな方にさせて頂いて私が学んだことは、音楽がある意味でバレエやスポーツに似た部分を持っているということです。つまり、「この音列が素敵だ」とか「この和声進行は泣ける」というような音楽的感覚は、幼少期から音楽に触れることによって自然に体の一部になる、ということです。また、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語など、西洋の言語の中でその原語だけを聞き、話し、考え、感じる生活をした経験は、西洋音楽を感覚的に理解する大きな助けになります。あとは、個人差です。同じくらい英語力がある人でも、日本語によって英語を習得する方が得意な人と、最初から、英語で英語を学び、感覚で言語を身につけてゆく方が得意な人がいます。それぞれにそれぞれの難関があり、利点があります。

 例えば私は、作曲の才能がゼロです。自分で作った曲のあまりのセンスの無さに、自分で爆笑してしまうほどです。でも、編曲は好きだし、得意な方だと思います。語学も、私は最初からその言語の中に飛び込んで、感覚で習得してゆく方が得意です。眼が不自由で、楽譜を見ながらライアーを弾くことが出来ないので、自分でたくさんの曲を編曲して来たことも功を奏したかも知れません。ですから、楽譜に起こされることもなく、私の頭の中にだけ収まっていて、やがて忘れ去られてゆく日の目を見ない曲たちを、楽譜に起こし、皆さんにシェアしようと思い立ちました。

 皆それぞれ、得意なことをすれば良いと思うのです。楽譜を見ながらライアーを弾ける方々は、その曲を美しく演奏することに力を注げばよい… ライアーを弾いていると、病院や老人ホーム、障害をもった子供たちや大人の方々のために演奏をする機会が増えるものです。音楽療法士の私としては、そんな時、聴く人の心と身体に沁みて、幸せな気持ちになってもらえるような演奏をしてほしいと願います。そのために、私はこれから、いろいろな曲を編曲し、どのようにその曲を弾いたら美しく響くか、このサイトで解説してゆこうと思います。皆さまのお役に立てれば幸いです。

2018年春 横浜にて

工藤咲良HP(旧) 活動情報&ライアー編曲譜

こちらは工藤咲良の旧ウェヴサイトです。

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